訪問看護ステーションの報酬(診療報酬・介護報酬)を早く受け取る方法|ファクタリングの対象と入金時期
訪問看護ステーションの報酬は、医療保険の訪問看護療養費と介護保険の介護給付費に分かれ、どちらもサービスを提供した月の翌月10日までに請求し、入金はその後になります。入金を早める方法の一つが、審査支払機関に請求した報酬の債権をファクタリング会社に売却する方法で、当サイト掲載47社のうち、診療報酬または介護報酬の債権を扱うと公式に記載している会社は13社です。ただし、当サイトが記録した13社の公式の記載には「訪問看護療養費」を名指ししたものがないため、申込前に対象になるかを確認する必要があります。
本記事では、訪問看護の報酬の請求先と入金時期を法令と審査支払機関の公表資料で確認し、13社の公式の記載を整理しています。診療報酬全般のファクタリングは診療報酬ファクタリングの比較、介護報酬全般は介護報酬ファクタリングのガイドでご案内しています。
訪問看護の報酬は、医療保険分と介護保険分に分かれます
どちらの保険で提供するかの決まり方
厚生労働省の資料「訪問看護のしくみ」は、介護保険法の実施に伴い、要支援者・要介護者等に認定された人への訪問看護は「介護保険からの給付が最優先になりますが、別に厚生労働大臣が定める疾病等は、医療保険における訪問看護の提供を行います」と説明しています。同じ資料は、要介護・要支援の認定を受けた人でも、厚生労働大臣が定める疾病等(別表第7)に当たる人、精神科訪問看護が必要な人(認知症は除く)、病状の悪化等により特別訪問看護指示期間にある人は、医療保険で訪問看護が提供されるとしています。
このため、一つの訪問看護ステーションに、医療保険分と介護保険分の両方の報酬が発生することがあります。ファクタリングを検討するときは、まず毎月の請求額を保険の種類ごとに分けて把握することが出発点になります。
請求先(審査支払機関)
| 区分 | 根拠 | 審査・支払の事務を行う機関 |
|---|---|---|
| 医療保険の訪問看護療養費 | 健康保険法第88条第10項・第11項など | 保険者が、医療情報基盤・診療報酬審査支払機構(基盤機構)または国民健康保険団体連合会(国保連)に委託できる |
| 介護保険の介護給付費(居宅介護サービス費) | 介護保険法第41条第9項・第10項 | 市町村が、国保連に委託できる |
健康保険法第88条第10項は、保険者は訪問看護療養費の請求があったときは「審査の上、支払うものとする」と定め、第11項は、その審査と支払の事務を「基盤機構又は国保連合会に委託することができる」と定めています。介護保険法第41条第10項も、居宅介護サービス費の審査と支払の事務を連合会(国保連)に委託できると定めています。
基盤機構は、社会保険診療報酬支払基金が改組された組織です。同機構の公式サイトは「令和8年10月より支払基金はDX審査支払機構となりました」と案内しています。ファクタリングの契約書や債権譲渡通知書に書く債務者の名称も、新しい名称になります。本記事では法令上の名称(医療情報基盤・診療報酬審査支払機構)を「基盤機構」と略していますが、同機構の公式サイトの表記は「DX審査支払機構」です。
請求の期限と入金の時期
請求は、サービス提供月の翌月10日まで
請求の期限は、命令で定められています。
- 医療保険分:訪問看護療養費及び公費負担医療に関する費用の請求に関する命令 第3条第1項は、請求は「各月分について翌月十日までに行わなければならない」と定めています。請求は、原則として電子情報処理組織を使用して行うものとされています(同命令第1条)
- 介護保険分:介護給付費及び公費負担医療等に関する費用等の請求に関する命令 第3条第1項も、審査支払機関を通じた請求は「各月分について翌月十日までに行わなければならない」と定めています
医療保険分(国保連経由)は、原則として請求月の翌月20日まで
厚生労働省は、2024年6月19日付の通知「訪問看護療養費の支払早期化に関する関係者の対応について」で、電子情報処理組織による請求の届出を行った指定訪問看護事業者への訪問看護療養費のうち、国保連を介するものについて、2024年7月の請求分から「原則として請求月の翌月20日まで」に支払うこととしました。期日が土日祝日にあたる場合は、別の期日になる場合があるとされています。
一方、同じ通知は、支払基金(現在の基盤機構)を介した訪問看護療養費の支払早期化については「今般の措置を参考として関係者間で引き続き検討を行う」としています。基盤機構は、「保険医療機関・保険薬局・訪問看護ステーション・特定健診等機関・助産所の皆さまへ」として、令和8年度の支払予定日を公表しています。この表の表題は「診療(調剤)報酬」「特定健診・特定保健指導費」で、たとえば9月診療分は11月20日(金)、10月診療分は12月22日(火)が支払予定日です。訪問看護療養費の入金日は、同機構から届く振込額の明細で確認してください。
介護保険分は、国保連ごとの支払日
介護給付費の支払日は、都道府県の国保連ごとに定められています。例として、香川県国民健康保険団体連合会の令和6年度集団指導資料は、サービス提供月の翌月1日〜10日を請求受付期間とし、サービス提供月の翌々月に「介護給付費等の支払日については毎月21日としておりますが、当日が土日・祝日の場合は、銀行の翌営業日のお振込となります」と案内しています。ほかの都道府県の支払日は、所在地の国保連の案内で確認してください。
入金時期の例(2026年9月提供分)
| 区分 | 請求期限 | 入金の時期 | 出典 |
|---|---|---|---|
| 医療保険分(国保連経由・電子請求の届出あり) | 2026年10月10日 | 原則として請求月の翌月20日まで(11月20日) | 厚生労働省 2024年6月19日付通知 |
| 医療保険分(基盤機構経由) | 2026年10月10日 | 「診療(調剤)報酬」の9月診療分の支払予定日は11月20日 | 基盤機構 令和8年度支払予定日 |
| 介護保険分(香川県国保連の例) | 2026年10月10日 | 翌々月21日(2026年11月21日は土曜日、23日は勤労感謝の日のため、銀行の翌営業日の11月24日) | 香川県国保連 集団指導資料 |
2026年10月10日は土曜日です。香川県国保連の資料は「締切日の10日については土日・祝日の場合でも受付窓口を設けています」としていますが、請求の受付日時は、所在地の審査支払機関の案内で確認してください。上の表は、命令と公表資料から組んだ目安で、返戻や査定があった明細は、この時期に入金されません。
ファクタリングで早まるのは、請求から入金までの待ち時間です
上の表のとおり、9月に提供したサービスの報酬が入金されるのは11月下旬です。この間も、看護師の給与や車両の費用は毎月発生します。報酬の債権をファクタリング会社に売却すると、審査支払機関からの入金を待たずに、その一部を先に受け取れます。
報酬債権の譲渡と通知
報酬の債権を売却したことを審査支払機関などに主張するには、民法第467条の手続が関わります。同条第1項は、債権の譲渡(現に発生していない債権の譲渡を含む)は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ「債務者その他の第三者に対抗することができない」と定め、第2項は、債務者以外の第三者に対抗するには確定日付のある証書によることを求めています。
基盤機構は、診療報酬等に係る債権譲渡通知書などの債権関係書類の送達場所を公式サイトで案内しており、通知書の記載例も掲載しています。記載例は、保険医療機関の「一切の診療報酬債権」を譲渡する場合のもので、民法第467条に基づく通知として書かれています(2026年9月24日更新)。国保連あての通知の方法は、所在地の国保連に確認してください。
取引の形(審査支払機関に通知する3社間か、通知しない2社間か)は会社によって異なります。たとえばカイポケ早期入金は国保連との3社間の契約が中心と公式に記載し、西日本ファクターは2社間・3社間のどちらにも対応すると記載しています。契約前に、どの形の契約になるか、誰が・どの機関に・いつ通知するかを確認してください。
診療報酬・介護報酬の債権を扱うと公式に書いている会社
当サイトは、掲載している47社について、診療報酬・介護報酬の債権を扱うかどうかを各社の公式ページの原文で確認し、区分・原文・出典・確認日を記録しています(条件別の比較表と同じ記録)。このうち、診療報酬または介護報酬のどちらかが「可」の会社は次の13社です(当サイトの手数料一覧の掲載順。引用は各社の公式ページの原文)。
| 会社 | 診療報酬 | 介護報酬 | 確認日 |
|---|---|---|---|
| ビートレーディング | 「診療報酬債権に関しても買い取り(診療報酬ファクタリング)を行っております。」 | 「介護報酬債権の買い取り(介護報酬ファクタリング)も行っております。」 | 2026年10月31日 |
| アクセルファクター | 「診療報酬債権・介護報酬債権といった医療系の債権も幅広く取り扱っております」(公式コラム) | 同左 | 2026年11月1日 |
| ベストファクター | 事例として掲載:「ベストファクターの診療報酬債権ファクタリングでインプラントの最新機器の導入に成功」 | 事例として掲載:「ベストファクターの介護報酬債権ファクタリングで早期の資金調達」 | 2026年11月1日 |
| PMG | 「医療法人向けファクタリングとして診療報酬債権の買い取り、医療法人の迅速な資金調達を支援しております。」 | 記載なし | 2026年10月31日 |
| トップ・マネジメント | 事例として掲載:「診療報酬債権 2社間ファクタリングの事例」 | 事例として掲載:「介護報酬債権 3社間ファクタリングの事例」(総買取額362万2,500円) | 2026年11月1日 |
| メンターキャピタル | 「診療報酬を受け取る施設であればご利用可能なファクタリング活用法をご紹介いたします。」 | 「介護福祉事業者にとって資金調達に有効な手段なのが介護報酬債権ファクタリングです。」 | 2026年11月1日 |
| 株式会社No.1 | 「医療事業者が、保有している診療報酬債権を弊社が買取し現金化するサービスです。」 | 「事業主様が保有している介護報酬債権を弊社が買取し現金化するサービスです。」 | 2026年11月1日 |
| トラストゲートウェイ | 「手数料1.0%〜のプランをご用意(診療報酬債権買取)」 | 「介護報酬債権を有している場合であればご利用が可能です。」 | 2026年10月31日 |
| カイポケ早期入金 | 「診療報酬・調剤報酬 診療所(クリニック) 在宅療養支援診療所 歯科診療所 調剤薬局 など」 | 「介護報酬 全種別対応可能」 | 2026年10月31日 |
| ネクストワン | 「社会保険や国民健康保険より先々に入金予定の診療報酬債権お買い取りいたします。」 | 「障害者総合支援法・児童福祉法に基づくどんな介護報酬債権でも対応いたします。」 | 2026年11月1日 |
| ファクタリングZERO | 「医療事業者様が、社会保険診療報酬支払基金(社保)、国民健康保険団体連合会(国保)に対して有する診療報酬債権を、スリートラストが買い取ります。」 | 「介護事業者様が国民健康保険団体連合会(国保連)に対して有する介護報酬債権を、スリートラストが買い取ります。」 | 2026年11月1日 |
| 西日本ファクター | 「医療報酬、介護報酬ファクタリング」 | 「国保連からの入金後お支払いいただく2社間、直接、国保連から西日本ファクターに支払われる3社間ファクタリングどちらも対応可能です。」 | 2026年11月1日 |
| エスコム | 「社会保険や国民健康保険といった先々に入金予定の診療報酬債権お買い取りいたします。」 | 「障害者総合支援法・児童福祉法に基づくどんな介護報酬債権でも 対応いたします。」 | 2026年11月3日 |
診療報酬が「可」の会社は13社、介護報酬が「可」の会社はPMGを除く12社です。ベストファクターとトップ・マネジメントは、報酬債権の買取の事例を公式サイトに掲載しており、当サイトはこれを「可」として数えています。
13社とも、当サイトが記録した公式の記載には「訪問看護」「訪問看護療養費」を名指ししたものがありません。カイポケ早期入金は「介護報酬 全種別対応可能」と記載していますが、訪問看護を名指しした記載ではありません。医療保険の訪問看護療養費が各社のいう「診療報酬」に含まれるかも、記載からは判別できません。PMGの記載は「医療法人向け」で、株式会社などが運営するステーションが対象になるかは記載がありません。申込の前に、訪問看護療養費と介護報酬のそれぞれが対象になるかを各社に確認してください。
手数料について、ビートレーディングは公式コラムで「ビートレーディングで診療報酬ファクタリングをご利用いただくと、最低手数料2%~ご利用いただけます」と記載しています(同コラムは「各社のデータは2026年3月現在のもの」と注記・2026年11月1日確認)。カイポケ早期入金は手数料0.96%〜で、別途、初回手数料5,000円・月額費用2,000円がかかるとしています(2026年10月31日確認)。トラストゲートウェイは診療報酬債権のプランを手数料1.0%〜としています。
このほか、OLTAは、請求書を発行しない取引の代替書類の例に「医療レセプト」を挙げていますが、診療報酬債権の取扱いの説明はありません(2026年10月31日確認)。GMO BtoB早払いは、「レセプト債権はご利用いただけません。」と公式に記載しています(2026年10月31日確認)。残る32社には、診療報酬・介護報酬の債権についての公式の記載がありません。
カイポケ早期入金の注意点
カイポケ早期入金は、一部の都道府県では支払機関で債権譲渡ができないため契約できない場合があると公式に記載しています(2026年10月31日確認)。所在地の都道府県で利用できるかは、申込の前に確認してください。必要書類は、ファクタリング契約書・サービス申込書・債権譲渡通知書・登記簿謄本・印鑑証明で、決算書は原則不要と公式に記載されています。
計算の例(仮定)
例として、2026年9月に提供したサービスについて、医療保険分300万円・介護保険分500万円の報酬を10月10日までに請求する訪問看護ステーションを考えます(金額は説明のための仮定です)。介護保険分について、請求額の80%を先に受け取り、残りを後日受け取る方式のファクタリングを使う場合は、次のようになります。
- 先に受け取る額:500万円×80%=400万円(手数料などの費用を差し引く前の額)
- 後日受け取る額:500万円−400万円=100万円(審査支払機関からの入金後の精算)
- 医療保険分の300万円は、国保連経由で電子請求の届出をしていれば、原則として11月20日までに入金されます
手数料は、率だけでなく、何に対する率か(請求額か、先に受け取る額か)、月額費用や初回費用があるかによって、実際の負担額が変わります。見積もりでは、手数料の計算の基になる金額と、手数料以外の費用の合計を確認してください。返戻や査定で請求額が減った場合の精算方法も、契約書で確認が必要です。
申込の前に確認しておくこと
- 毎月の請求額を、医療保険分(国保連経由・基盤機構経由)と介護保険分に分けて把握する:対象になる債権と入金時期が、それぞれ異なります
- 訪問看護療養費と介護報酬の両方が対象になるかを、会社に確認する:当サイト掲載47社の公式表示では、訪問看護を名指しした会社はありません。掲載47社以外では、介護報酬ファクタリングのガイドで紹介しているアクリーティブが、訪問看護療養費等を対象に挙げています
- 債権譲渡の通知を、誰が・どの機関に・いつ行うかを確認する:基盤機構は債権関係書類の送達場所を公式に案内しています
- 手数料の計算の基になる金額と、手数料以外の費用を確認する:初回手数料や月額費用がかかる会社があります
- 返戻・査定があった場合の精算方法を確認する:請求額どおりに入金されない場合の扱いは、契約によって異なります
開業直後の資金繰りや、ファクタリング以外の資金調達との比較は、資金ショートを防ぐ方法でご案内しています。
よくある質問
Q: 訪問看護の報酬は、いつ入金されますか? A: 請求は、医療保険分・介護保険分とも、サービス提供月の翌月10日までに行います。医療保険分のうち国保連を介するものは、電子請求の届出をした事業者には原則として請求月の翌月20日までに支払われます(厚生労働省 2024年6月19日付通知)。介護保険分の支払日は国保連ごとに定められており、香川県国保連の例では翌々月21日(土日祝日は銀行の翌営業日)です。
Q: 訪問看護療養費をファクタリングで売却できますか? A: 当サイト掲載47社のうち、診療報酬または介護報酬の債権を扱うと公式に記載している会社は13社です(診療報酬は13社、介護報酬は12社。ベストファクターとトップ・マネジメントは事例の掲載)。ただし、当サイトが記録した13社の公式の記載には訪問看護療養費を名指ししたものがないため、対象になるかは申込の前に各社へ確認してください。
Q: 報酬債権のファクタリングでは、審査支払機関に通知されますか? A: 民法第467条は、債権の譲渡を債務者に主張するには、債務者への通知または債務者の承諾が必要と定めています。基盤機構は、診療報酬等に係る債権譲渡通知書の送達場所と記載例を公式サイトで案内しています。カイポケ早期入金は国保連との3社間の契約が中心と公式に記載しています。
Q: 支払基金の名称が変わったと聞きましたが、契約に影響はありますか? A: 基盤機構の公式サイトは「令和8年10月より支払基金はDX審査支払機構となりました」と案内しており、債権譲渡通知書の被通知人の記載も「医療情報基盤・診療報酬審査支払機構」になっています。既存の契約の扱いは、利用しているファクタリング会社に確認してください。
まとめ
- 訪問看護の報酬は、医療保険の訪問看護療養費と介護保険の介護給付費に分かれ、どちらもサービス提供月の翌月10日までに請求します(それぞれの請求命令 第3条)
- 医療保険分の審査・支払は基盤機構または国保連、介護保険分は国保連が担います(健康保険法第88条第11項・介護保険法第41条第10項)
- 国保連を介する訪問看護療養費は、電子請求の届出をした事業者には原則として請求月の翌月20日までに支払われます。介護保険分の支払日は国保連ごとに異なります
- 当サイト掲載47社のうち、診療報酬または介護報酬の債権を扱うと公式に記載しているのは13社で、訪問看護療養費を名指しした記載はありません
- 申込の前に、対象になる債権、債権譲渡の通知の方法、手数料の基になる金額と手数料以外の費用、返戻・査定時の精算方法を確認してください
