ファクタリングの仕訳・会計処理を完全解説|勘定科目・消費税・決算書への影響【税理士監修級】

ファクタリングの仕訳・会計処理を完全解説|勘定科目・消費税・決算書への影響【税理士監修級】

更新日: 2026年4月ファクタリング 仕訳, ファクタリング 勘定科目

「ファクタリングを利用したけど、仕訳はどうすればいいの?」

ファクタリングは借入ではなく「債権の売却」です。そのため、通常の融資とは仕訳方法が異なります。間違った処理をすると、税務調査で指摘を受けたり、決算書の見栄えが悪くなったりする原因になります。

この記事では、2社間・3社間それぞれの仕訳パターンを具体的な数字で示しながら、勘定科目・消費税・決算書への影響まで網羅的に解説します。


ファクタリングで使う勘定科目一覧

まず、ファクタリングの会計処理で登場する主な勘定科目を整理します。

| 勘定科目 | 使用場面 | 区分 | |---------|---------|------| | 売掛金 | 売上発生時、ファクタリング申込時 | 資産(流動) | | 未収入金(未収金) | 2社間でファクタリング会社からの入金待ち | 資産(流動) | | 普通預金 | ファクタリング代金の受取 | 資産(流動) | | 売上債権売却損 | 手数料の計上 | 費用(営業外) |

「売上債権売却損」は聞き慣れない科目かもしれませんが、ファクタリング手数料を計上する際の正式な勘定科目です。「支払手数料」で処理する方法もありますが、ファクタリングの性質(債権売却に伴う損失)を正確に反映するには「売上債権売却損」が適切です。


2社間ファクタリングの仕訳【3ステップ】

2社間ファクタリングでは、ファクタリング会社からの入金と、売掛先からの入金のタイミングがずれるため、仕訳が3ステップになります。

前提条件

  • 売掛金: 100万円
  • 手数料率: 10%(手数料10万円)
  • 手取り: 90万円

STEP1: 売上計上時(通常の売上仕訳)

まず、取引先に請求書を発行した時点で通常の売上仕訳を行います。

| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | |------|------|------|------| | 売掛金 | 1,000,000円 | 売上 | 1,000,000円 |

この段階ではファクタリングに関する仕訳はありません。通常どおり売掛金を計上します。

STEP2: ファクタリング契約・入金時

ファクタリング会社と契約し、手数料を差し引いた金額が入金された時点で以下の仕訳を行います。

| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | |------|------|------|------| | 普通預金 | 900,000円 | 売掛金 | 1,000,000円 | | 売上債権売却損 | 100,000円 | | |

売掛金100万円が消え、代わりに普通預金90万円と手数料(売上債権売却損)10万円が計上されます。

STEP3: 売掛先からの入金→ファクタリング会社へ送金時

2社間ファクタリングでは、入金期日に売掛先からあなたに入金があり、それをファクタリング会社に送金します。

売掛先から入金があった場合:

STEP2で売掛金はすでに消えているため、売掛先からの入金は「預り金」として処理します。

| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | |------|------|------|------| | 普通預金 | 1,000,000円 | 預り金 | 1,000,000円 |

ファクタリング会社に送金した場合:

| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | |------|------|------|------| | 預り金 | 1,000,000円 | 普通預金 | 1,000,000円 |

これで2社間ファクタリングの仕訳が完了します。


3社間ファクタリングの仕訳【2ステップ】

3社間ファクタリングでは、売掛先がファクタリング会社に直接支払うため、仕訳が2ステップで済みます。

前提条件

  • 売掛金: 100万円
  • 手数料率: 5%(手数料5万円)
  • 手取り: 95万円

STEP1: 売上計上時

2社間と同じく、通常の売上仕訳を行います。

| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | |------|------|------|------| | 売掛金 | 1,000,000円 | 売上 | 1,000,000円 |

STEP2: ファクタリング契約・入金時

ファクタリング会社から入金された時点で以下の仕訳を行います。

| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | |------|------|------|------| | 普通預金 | 950,000円 | 売掛金 | 1,000,000円 | | 売上債権売却損 | 50,000円 | | |

3社間では、売掛先がファクタリング会社に直接支払うため、STEP2で仕訳は完了です。あなたの帳簿上の操作はこれだけで済みます。


消費税の取り扱い:ファクタリング手数料は非課税

ファクタリング手数料には消費税がかかりません。

これは、ファクタリングが「金銭債権の譲渡」に該当し、消費税法上の非課税取引(消費税法第6条、別表第一第2号)に分類されるためです。

実務上の注意点

  • ファクタリング会社からの請求書・明細書に消費税が記載されていないことを確認する
  • もし「手数料+消費税」と記載されている場合は、その業者の信頼性を疑うべき(正規のファクタリング会社であれば消費税は請求しない)
  • 確定申告・決算時に、売上債権売却損を非課税取引として処理する

決算書への影響

ファクタリングの利用は、決算書にどのような影響を与えるのでしょうか。融資を検討している場合、この点は重要です。

貸借対照表(B/S)への影響

プラスの影響:

  • 売掛金が減少し、現金が増加する → 流動比率が改善する
  • 借入金は増えない → 負債比率に影響しない
  • バランスシートのスリム化(オフバランス効果)

具体例: ファクタリング利用前の売掛金が500万円、現金が100万円だったとします。200万円の売掛金をファクタリング(手数料10%)で現金化すると、売掛金300万円・現金280万円となり、流動資産の構成が現金寄りに改善されます。

損益計算書(P/L)への影響

  • 手数料は「売上債権売却損」として営業外費用に計上される
  • 営業利益には影響しないが、経常利益・当期純利益は減少する
  • 手数料が高いと、経常利益率が悪化する点に注意

銀行融資への影響

ファクタリングは借入ではないため、**信用情報に記録されません。**銀行融資の審査において、ファクタリングの利用が直接マイナスになることはありません。

ただし、決算書の「売上債権売却損」が大きい場合、銀行の担当者から「ファクタリングを多用している=資金繰りが厳しい」と判断される可能性はあります。融資を受ける予定がある場合は、ファクタリングの利用頻度に注意しましょう。


決算期をまたぐ場合の処理

ファクタリングの契約日と売掛金の入金日が決算期をまたぐ場合、会計処理に注意が必要です。

2社間で期末に契約した場合

3月決算の会社が、3月25日にファクタリング契約・入金を受け、売掛先からの入金が4月30日の場合:

  • 3月(当期): 売掛金の消去+入金+売上債権売却損の計上(STEP2まで完了)
  • 4月(翌期): 売掛先からの入金→ファクタリング会社へ送金(STEP3)

STEP2の時点で売掛金は消去されているため、期末の貸借対照表には売掛金として残りません。


「支払手数料」と「売上債権売却損」どちらで処理すべき?

実務では「支払手数料」で処理している企業もあります。税務上、どちらを使っても問題はありません。ただし、以下の理由から**「売上債権売却損」を推奨**します。

  1. 取引の実態を正確に反映する: ファクタリングは債権の売却であり、手数料の支払いとは性質が異なる
  2. 銀行融資の審査で区別しやすい: 「支払手数料」に含めると、通常の事務手数料と混同される
  3. 税務調査での説明が容易: 勘定科目だけで取引内容が推測できる

ただし、ファクタリングの利用が少額・少頻度であれば「支払手数料」で簡便処理しても実害はありません。自社の状況に応じて判断してください。


税務上の注意点

法人税の取り扱い

売上債権売却損は損金算入が認められます。つまり、ファクタリング手数料は経費として法人税の計算上控除できます。

個人事業主の確定申告

個人事業主の場合、売上債権売却損は「雑損失」または「売上債権売却損」として必要経費に算入します。青色申告の場合は損益計算書の「その他の経費」欄に記載します。

印紙税

ファクタリング契約書には原則として印紙税はかかりません。ファクタリングは金銭消費貸借契約ではなく債権譲渡契約であるため、印紙税法上の課税文書に該当しないケースが一般的です。ただし、契約書の内容によっては課税される場合もあるため、契約書の記載内容を確認してください。


よくある質問

Q. ファクタリングの仕訳で最も間違いやすいのは?

A. 2社間で売掛先から入金があった際の処理です。 売掛金はSTEP2で消去済みなので、売掛先からの入金を再度「売掛金の回収」として処理してしまうと二重計上になります。必ず「預り金」として処理してください。

Q. 手数料の按分は必要?

A. 原則不要です。 ファクタリング手数料は契約時点で確定するため、期間按分(月割りなど)は不要です。契約・入金時に一括で費用計上します。

Q. 仕訳ソフト(freee、マネーフォワード等)での入力方法は?

A. 勘定科目を追加登録してください。 多くのクラウド会計ソフトでは「売上債権売却損」がデフォルトで用意されていません。勘定科目の設定画面で「営業外費用」に新規追加してから仕訳を入力します。


まとめ

ファクタリングの仕訳は、ポイントを押さえれば難しくありません。

覚えておくべき3つのポイント:

  1. 勘定科目は「売上債権売却損」 — 手数料を正確に費用計上する
  2. 消費税は非課税 — ファクタリング手数料に消費税はかからない
  3. 2社間は3ステップ、3社間は2ステップ — 取引の流れに沿って処理する

ファクタリングの基本的な仕組みはファクタリングとはで、手数料の相場はファクタリング手数料の比較で解説しています。2社間と3社間の違いについては2社間と3社間の比較もあわせてご確認ください。


この記事は2026年4月時点の情報に基づいています。税務処理については税理士にご相談ください。


※本記事の情報は2026年4月時点の内容です。手数料率・サービス内容・キャンペーン等は変更される場合があります。最新情報は各公式サイトでご確認ください。当サイトはアフィリエイトプログラムに参加しており、掲載企業から報酬を受けることがあります。ただし、記事の内容や評価は報酬に影響されません。

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