将来債権ファクタリングとは?仕組み・法的根拠・対応会社を解説【2026年】
「まだ発生していない売掛金を資金化できるって本当?」——2020年の改正民法施行以降、注目を集めている「将来債権ファクタリング」。継続的な取引がある企業にとって、新たな資金調達手段として有力な選択肢になっています。
この記事では、将来債権ファクタリングの仕組み、法的根拠、利用シーン、リスクについて徹底解説します。
将来債権とは?
将来債権とは、現時点では発生していないものの、将来発生する可能性が高い債権のことです。
具体例
- 来月以降に発生する月額顧問料
- 継続的なリース料・サブスクリプション収入
- 長期契約による定期売上(SaaS、保守契約)
- 今後数ヶ月にわたり発生する見込みの売掛金
通常のファクタリングは「すでに請求書が発行された(発生済みの)売掛金」が対象ですが、将来債権ファクタリングは今後発生する売掛金を対象にします。
改正民法による法的根拠(2020年4月施行)
旧民法
将来債権の譲渡は判例上認められていたものの、明文規定はなく実務上のリスクが残っていました。
改正民法466条の6
「債権の譲渡は、その意思表示の時に債権が現に発生していることを要しない」
この条文により、将来債権の譲渡が法律上明確に認められたのです。これがファクタリング業界での将来債権ファクタリング普及の決定打となりました。
詳しい法的論点はファクタリングと裁判例も参照してください。
将来債権ファクタリングの仕組み
基本フロー
- 利用者とファクタリング会社が将来債権譲渡契約を締結
- 過去の取引実績・契約書・受注書をもとに将来発生見込み額を算出
- 手数料を差し引いた金額を即日〜数日で入金
- 売掛金発生後、ファクタリング会社が回収
必要書類
- 過去6〜12ヶ月の通帳コピー(継続入金実績)
- 売掛先との基本契約書
- 受注書・注文書
- 決算書(法人の場合)
注文書ファクタリングとも近い概念ですが、将来債権ファクタリングはより継続的な売上を対象にする点で異なります。
将来債権ファクタリングのメリット
1. 大口の資金調達が可能
通常のファクタリングは現在発生している売掛金の範囲が上限ですが、将来債権ファクタリングなら6ヶ月〜1年分の売上をまとめて資金化できる場合があります。
2. 継続的な資金繰り改善
SaaS事業者・保守サービス業など、月額収入が安定している企業にとって、毎月の手元資金を厚くできます。
3. 銀行融資の代替手段
銀行融資の審査が難しい新興企業でも、過去の取引実績があれば利用可能です。
デメリット・注意点
1. 手数料が高くなりがち
将来債権はリスクが高いため、通常のファクタリングよりも手数料が高くなります。相場は**15〜30%**程度。
2. 過去の取引実績が必須
継続取引の実績が6ヶ月以上ないと、ほぼ審査に通りません。新規事業・新規取引先の売掛金は対象外です。
3. 対応会社が限定的
将来債権ファクタリングを扱う会社はまだ少数です。当サイトのおすすめファクタリング会社から「将来債権対応」のサービスを探してください。
4. 多重譲渡リスク
複数の業者に同じ将来債権を譲渡してしまう二重譲渡は犯罪行為です。必ず1社のみと契約してください。
将来債権ファクタリングが向く業種
| 業種 | 適合度 | 理由 | |------|-------|------| | SaaS・サブスク事業 | ◎ | 月額継続収入が安定 | | 保守・メンテナンス業 | ◎ | 長期契約が多い | | 顧問業(士業) | ◯ | 毎月の顧問料が継続 | | コンサルティング業 | ◯ | 長期プロジェクトが多い | | EC・小売業 | △ | 月次変動が大きい | | 建設業 | △ | プロジェクトベースで変動 | | 新規事業 | × | 実績がないため不適 |
通常のファクタリングとの違い
| 項目 | 通常ファクタリング | 将来債権ファクタリング | |------|----------------|---------------------| | 対象債権 | 発生済み売掛金 | 未発生の売掛金 | | 必要書類 | 請求書・通帳 | 契約書・通帳・受注書 | | 資金化額 | 単発の売掛金額 | 6ヶ月〜1年分 | | 手数料 | 2〜18% | 15〜30% | | 審査 | 売掛先信用重視 | 利用者継続実績重視 | | 対応会社数 | 多い | 少ない |
利用時の流れ(申込から入金まで)
ステップ1:相談・見積もり
ファクタリング会社に将来債権譲渡の可否を相談。
ステップ2:必要書類提出
過去6〜12ヶ月の入金履歴、売掛先との契約書を提出。
ステップ3:審査
将来発生見込み額の妥当性を審査(2〜5営業日)。
ステップ4:契約締結
将来債権譲渡契約書を締結。多くの場合、債権譲渡登記を行います。
ステップ5:入金
手数料控除後の金額が振込まれる。
ステップ6:回収
売掛金発生後、ファクタリング会社が回収。
将来債権譲渡登記の必要性
将来債権ファクタリングでは、譲渡を法的に保全するため債権譲渡登記を行うのが一般的です。
メリット
- 第三者対抗要件を取得
- 二重譲渡を防止
- 倒産時の保全強化
デメリット
- 登記費用が発生(7,500円〜)
- 売掛先が登記情報を見れば譲渡を知る可能性
債権譲渡登記の詳細については別記事を参照してください。
トラブル事例と注意点
ケース1:契約期間中の取引終了
顧客との契約が途中で終了し、想定していた将来売掛金が発生しなくなった。
→ 多くの契約では「未発生分の払い戻し」が定められていますが、契約内容をよく確認すべきです。
ケース2:売掛先の事業縮小
売掛先が業績悪化で発注を減らした。
→ ノンリコース契約なら利用者の責任は基本なし。リコース型なら肩代わりが必要。
ケース3:多重譲渡指摘
別のファクタリング会社にも譲渡してしまった。
→ 詐欺罪・横領罪に該当する可能性あり。絶対に避けてください。
まとめ
将来債権ファクタリングは、
- 継続収入のあるSaaS・保守業に最適
- 大口資金調達が可能(6ヶ月〜1年分)
- 改正民法466条の6で法的に確立
- 手数料は高め(15〜30%)
- 対応会社は限定的
利用を検討する場合は、必ずノンリコース契約であること、債権譲渡登記の有無を確認した上で進めてください。
よくある質問(FAQ)
Q: 将来債権ファクタリングは合法? A: はい、2020年改正民法466条の6で明文化されました。完全に合法です。
Q: どれくらいの金額まで資金化できる? A: 過去の入金実績次第ですが、月商の3〜12ヶ月分が目安です。
Q: 個人事業主でも利用できる? A: 一部の業者で対応しています。詳しくは個人事業主向けファクタリングを参照。
Q: 将来債権ファクタリング後、銀行融資は受けられる? A: 受けられますが、債権譲渡登記がある場合、銀行が警戒する可能性があります。
Q: 中途解約はできる? A: 原則できません。契約期間中は譲渡分の売掛金がファクタリング会社に流れます。途中で契約解除したい場合は買戻しが必要なケースが多いです。
