ファクタリングの勘定科目・仕訳方法を完全解説|2社間・3社間別パターンあり【2026年】
「ファクタリングを使ったとき、会計上はどう仕訳すればいいの?」「勘定科目は何を使う?」——経理担当者・経営者がよく迷うポイントを、具体的な数字を使って徹底解説します。
ファクタリングの勘定科目の基本
使用する主な勘定科目
| 場面 | 使用する勘定科目 | 分類 | |-----|-------------|-----| | 売掛金を計上するとき | 売掛金 | 資産 | | 手数料を処理するとき | 売上債権売却損 または 支払手数料 | 費用 | | 入金されたとき | 普通預金 または 現金 | 資産 | | 3社間で売掛先が直接振込む | 普通預金(ファクタリング会社口座へ) | — |
「売上債権売却損」と「支払手数料」どちらを使う?
| 勘定科目 | 適した場面 | 税務上の扱い | |---------|----------|------------| | 売上債権売却損 | ファクタリング専用の費用として明確にしたい | 損金算入可 | | 支払手数料 | シンプルに経費処理したい | 損金算入可 |
どちらを使っても税務上の効果は変わりません。継続して同じ科目を使うことが重要です。
2社間ファクタリングの仕訳パターン
前提条件
- 売掛金:100万円(A社宛)
- ファクタリング手数料:8%(8万円)
- 入金額:92万円(100万円 - 8万円)
- 支払期日:翌月末
仕訳①:売掛金が発生したとき
(借方)売掛金 1,000,000円
/(貸方)売上高 1,000,000円
仕訳②:ファクタリング会社に譲渡したとき(資金受取時)
(借方)普通預金 920,000円
(借方)売上債権売却損 80,000円
/(貸方)売掛金 1,000,000円
仕訳③:売掛先からファクタリング会社に入金があったとき(2社間)
2社間ファクタリングでは、売掛先はあなたに入金します。その後、あなたがファクタリング会社に送金します。
【売掛先からの入金時】
(借方)普通預金 1,000,000円
/(貸方)預り金 1,000,000円
【ファクタリング会社への送金時】
(借方)預り金 1,000,000円
/(貸方)普通預金 1,000,000円
ポイント: 売掛先から入金された代金はすでにファクタリング会社のものです。「預り金」として処理し、すぐに送金します。
3社間ファクタリングの仕訳パターン
前提条件(同じ条件で3社間の場合)
- 売掛金:100万円
- 手数料:3%(3万円)
- 入金額:97万円
仕訳①:売掛金が発生したとき
(借方)売掛金 1,000,000円
/(貸方)売上高 1,000,000円
仕訳②:ファクタリング会社に譲渡・資金受取時
(借方)普通預金 970,000円
(借方)売上債権売却損 30,000円
/(貸方)売掛金 1,000,000円
3社間の特徴
3社間では売掛先がファクタリング会社に直接入金するため、上記の「預り金」処理が不要です。仕訳が2回で完結します。
買取保証型(ノンリコース)の仕訳
ノンリコース(売掛先の倒産リスクをファクタリング会社が負う)の場合、追加の仕訳は基本的に不要です。売掛先が倒産しても申込者への請求はありません。
リコース(買戻し義務あり)の場合:
売掛先が倒産して買戻しを求められた際:
(借方)売掛金 1,000,000円
/(貸方)普通預金 920,000円(受取済の金額)
(貸方)未払金 80,000円(手数料分)
消費税の処理
ファクタリング取引と消費税
| 処理 | 消費税区分 | |-----|----------| | 売掛金の譲渡(金融取引) | 非課税(課税売上にならない) | | 手数料 | 課税仕入れ(仕入税額控除の対象) |
注意: 消費税の課税事業者は、ファクタリングで非課税売上が増えると「課税売上割合」が下がる可能性があります。個人事業主の確定申告での注意点も確認してください。
よくある仕訳ミスと正しい処理
ミス1:売掛金を入金額で計上してしまう
× 誤り
(借方)普通預金 920,000円
/(貸方)売上高 920,000円(手数料分が欠落)
○ 正しい
(借方)普通預金 920,000円
(借方)売上債権売却損 80,000円
/(貸方)売掛金 1,000,000円
ミス2:2社間で売掛先からの入金を売上として計上する
× 誤り
売掛先入金時:(借方)普通預金 1,000,000 /(貸方)売上高 1,000,000
(売掛金がすでに消えているのに売上が二重計上される)
○ 正しい → 預り金として計上し、ファクタリング会社に送金
会計ソフト別の入力方法
| 会計ソフト | 対応勘定科目 | 入力のポイント | |----------|------------|------------| | 弥生会計 | 売上債権売却損(カスタム追加可) | 手数料を別行で入力 | | freee | 売上債権売却損 | 取引登録で手数料を費用に | | マネーフォワード | 支払手数料 | 一括入力機能が便利 |
ファクタリングの資金繰り改善に活用する前に、まず自社の会計処理フローを確認しておくとスムーズです。
まとめ
ファクタリングの仕訳で最重要なのは「売掛金を元の金額で消し、手数料を費用として計上する」という原則です。2社間では売掛先からの入金を「預り金」として処理することも忘れずに。ファクタリングの税金・印紙税についても合わせて確認しておきましょう。
よくある質問(FAQ)
Q: ファクタリングの勘定科目「売上債権売却損」は標準科目ですか? A: 法定の標準科目ではありませんが、多くの会計ソフトでカスタム追加できます。「支払手数料」を使う場合は補助科目で「ファクタリング手数料」と区別すると管理しやすいです。
Q: 手数料を「雑費」で処理してもいいですか? A: 税務上は問題ありませんが、金額が大きい場合や継続利用の場合は専用の勘定科目を使うことを推奨します。
Q: 2社間で売掛先からの入金が遅れた場合、仕訳はどうなりますか? A: 入金が遅れた場合も仕訳の方針は変わりません。ただし、ファクタリング会社への送金期日を守ることが重要です。
Q: 確定申告(個人事業主)の場合、仕訳の考え方は法人と違いますか? A: 基本的な仕訳の考え方は同じです。青色申告の場合は複式簿記で、白色申告の場合は収支の記録として処理します。
Q: ファクタリングを複数回使った場合、まとめて計上できますか? A: 各取引を個別に仕訳することが原則です。ただし、同月内の複数取引を月次でまとめて補助科目管理する方法もあります。
