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ファクタリングと請求書カード払いの違い|資金が動く向き・費用・使える場面を比較

ファクタリングと請求書カード払いの違い|資金が動く向き・費用・使える場面を比較

更新日: 2026年11月7日ファクタリング 請求書カード払い 違い, 請求書カード払い 資金繰り, 請求書 カード払い ファクタリング

ファクタリングと請求書カード払いの一番の違いは、資金繰りのどちら側に効くかです。ファクタリングは、取引先に請求書を出した側(受け取る側)が売掛金を売り、支払期日より前に代金を受け取る取引です。請求書カード払いは、請求書を受け取った側(支払う側)が代金をクレジットカードで払い、口座からお金が出ていく時期を後ろへずらすサービスです。

どちらも請求書を使うため並べて紹介されることがありますが、ファクタリングは入ってくるお金を早め、請求書カード払いは出ていくお金を遅らせるもので、手元に新しく現金が入るのはファクタリングだけです。本記事では、請求書カード払いの仕組みを提供会社の公式ページと業界団体のガイドライン、ファクタリングの仕組みを金融庁のページと民法の条文で確認し、2つの違いと使い分けを整理します。ファクタリングの基本はファクタリングとは、請求書を早く資金にする方法の全体は請求書を現金化する方法でご案内しています。

ファクタリングと請求書カード払いの基本

ファクタリング:受け取る側が売掛金を売る取引

金融庁は「ファクタリングの利用に関する注意喚起」で、ファクタリングを「事業者が保有している売掛債権等を期日前に一定の手数料を徴収して買い取るサービス(事業者の資金調達の一手段)であり、法的には債権の売買(債権譲渡)契約です」と説明しています(金融庁・2026年11月6日確認)。民法第466条第1項は「債権は、譲り渡すことができる」と定めており、ファクタリングはこの債権の譲渡の仕組みを使っています。

使うのは、取引先に請求書を出したあとの売掛金です。受け取れる額は売掛金の額面から手数料を差し引いた金額が上限で、売掛先が支払期日に代金を払えば、その取引は終わります。

請求書カード払い:支払う側がカードで払い、支払いを後ろへずらすサービス

請求書カード払いは、受け取った請求書の代金を、提供会社がいったん取引先の口座へ振り込み、利用者はその分をクレジットカードで提供会社に支払う仕組みです。提供会社の公式ページでは、次のように説明されています(いずれも2026年11月6日確認)。

  • りそな決済サービス(請求書カード払いオンライン):「お振込予定の請求書をカードで支払えるサービスです」。サービス概要の「提供サービス」欄は「カード払いを利用した振込代行サービス」
  • 弥生(請求書カード払い):「カード決済すると、ご利用者さまに代わって、取引先の指定口座へ『ご利用さま名義』で現金を振り込みます」
  • 三井住友銀行(Trunk 請求書支払):「クレジットカードを利用すれば、支払いを最大60日間先延ばしが可能です」。請求書カード払いの部分は株式会社インフキュリオンが提供すると記載

一般社団法人キャッシュレス推進協議会は、2025年12月26日に「請求書カード払い取引ガイドライン」を公表し、運用を担う「請求書カード払い協会」を設立しました。ガイドライン第2条では、請求書カード払いを、支払う側(バイヤー)の委託を受けて、受け取る側(サプライヤー)への支払を代行し、その立て替えた分の支払をキャッシュレス決済手段で受ける役務として定義しています(キャッシュレス推進協議会・2026年11月6日確認)。

違いの一覧

比べる点 ファクタリング 請求書カード払い(公式ページで確認した例)
使う側 請求書を出した側(受け取る側) 請求書を受け取った側(支払う側)
資金繰りへの効き方 入ってくるお金を支払期日より前に受け取る 出ていくお金の時期を、カードの引き落とし日まで後ろへずらす
手元に入る現金 売掛金の額面から手数料を引いた額 入らない(取引先への振込を提供会社が代わりに行う)
使える額の上限 売る売掛金の額面 カードの利用枠(りそな決済サービスは「ご利用のクレジットカードのショッピング利用枠に準ずる」)
費用 会社ごとの手数料(売掛金の額面に対する率) 支払額に対する手数料(りそな決済サービス3.3%〈税込〉、三井住友銀行3%、弥生は利用開始時3.5%)
後ろへずらせる期間 ―(売掛先の支払期日で取引が終わる) 最大60日(3社とも。実際の日数はカードの締め日・引き落とし日で変わる)
取引先への通知 2社間では原則として売掛先に知らせない。3社間は売掛先の承諾が必要 三井住友銀行と弥生は、取引先にカードの利用は伝わらないと記載
契約の形 債権の売買(債権譲渡) 支払の代行と、その立て替え分のカード払い

資金の動き方の違い

ファクタリングは入金を早める

ファクタリングでは、利用者が売掛金をファクタリング会社に売り、手数料を差し引いた代金を受け取ります。2社間ファクタリングの場合、売掛先は支払期日に通常どおり利用者へ代金を払い、利用者はそれをファクタリング会社へ送ります。3社間ファクタリングの場合は、売掛先の承諾を得たうえで、売掛先がファクタリング会社へ直接支払います。2つの方式の違いは2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの違いでご説明しています。

いずれの方式でも、利用者の手元には支払期日より前に現金が入ります。その現金は、仕入代金・給与・税金などの支払いにも充てられます。

請求書カード払いは支払いを遅らせる

請求書カード払いでは、利用者が支払う請求書を提供会社に登録し、カードで決済します。提供会社は取引先の口座へ代金を振り込み、利用者の口座からは、カードの引き落とし日に代金が出ていきます。取引先への支払は期日どおりに済み、利用者の口座からお金が出ていくのは後になります。

ただし、手元に新しく現金が入るわけではありません。支払いを後ろへずらしたあとは、カードの引き落とし日までに、その額を口座に用意しておく必要があります。

後ろへずらせる期間は、3社とも「最大60日」としていますが、実際の日数はカードの締め日と引き落とし日で決まります。三井住友銀行は「支払を先延ばしできる期間は、ご利用のクレジットカードの引落日によって異なるためお客さまによる設定はできません」と記載しています。また、デビットカードやプリペイドカードで払った場合は後ろへずらせないと、りそな決済サービス・三井住友銀行・弥生がそれぞれ記載しています。三井住友銀行は、その理由を「即時残高が引き落とされるため」と説明しています(2026年11月6日確認)。

例:同じ月に入金と支払いがある会社の場合(仮定)

例:月末に100万円の仕入代金の支払いがあり、取引先から100万円の入金があるのは翌月末の会社の場合(仮定)。

  • ファクタリングを使う場合:翌月末に入る100万円の売掛金を売り、手数料(仮に5%=5万円)を引いた95万円を月末より前に受け取り、仕入代金の支払いに充てます。翌月末に売掛先から入る100万円は、ファクタリング会社へ渡します
  • 請求書カード払いを使う場合:月末の仕入代金100万円をカードで払い、手数料(仮に3.3%=3万3,000円)がかかります。仕入先には期日どおり100万円が振り込まれ、利用者の口座から代金が出ていくのは、カードの引き落とし日です。それまでに翌月末の入金があれば、その入金を引き落としに充てられます

手数料の率・期間・カードの締め日は、どれも仮定です。実際の率は各社の公式表示と見積もりで、手数料の支払い方は提供会社の規約で、実際の引き落とし日はお使いのカードの条件で確かめてください。

費用と上限の違い

請求書カード払いの手数料

公式ページで確認できた手数料は次のとおりです(いずれも2026年11月6日確認)。

提供会社(サービス名) 手数料 最低手数料 使えるカードのブランド
三井住友銀行(Trunk 請求書支払。法人口座Trunkの機能) ご利用金額の3% 460円 VisaとMastercard
弥生(請求書カード払い) 利用開始時は3.5%(利用金額に応じて変動。登録特典として初月と翌月は1.5%) 390円 VISA、Mastercard、JCB
りそな決済サービス(請求書カード払いオンライン) 請求書カード払い金額の3.3%(税込) 10,000円以下は一律330円(税込) VISA、JCB(公式FAQ)

表は提供会社の名前の五十音順で、手数料の高い・安いの順ではありません。弥生のページには、手数料について「2.5%~3.5%」「利用金額に応じて変動」との表示もあります。初期費用・月額費用は、りそな決済サービスと三井住友銀行が無料と記載しています(弥生の公式ページには「無料で登録」の表示がありますが、月額費用の記載は確認できませんでした)。

請求書カード払いの手数料は、支払う額に対してかかります。後ろへずらせる日数はカードの締め日と引き落とし日で変わるため、同じ率でも、ずらせる日数によって費用の重さの感じ方は変わります。

ファクタリングの手数料

ファクタリングの手数料は、売る売掛金の額面に対してかかり、率は会社ごと・契約ごとに異なります。当サイトに掲載している53社の公式表示(手数料の下限・上限、2社間・3社間など)は、53社の公式表示の集計と手数料の比較で、確認日とあわせて掲載しています。手数料の考え方はファクタリングの手数料でご説明しています。

2つの手数料は、かかる対象(売る額か、支払う額か)も、得られるもの(現金か、支払時期の後ろ倒しか)も違うため、率の数字だけを並べて高い・安いを比べることはできません。

使える額の上限

ファクタリングで受け取れる額は、売る売掛金の額面が上限です。請求書カード払いで使える額は、カードの利用枠の範囲になります。りそな決済サービスは利用可能枠を「ご利用のクレジットカードのショッピング利用枠に準ずる」としています。支払う額が大きく、カードの利用枠を超える場合は、請求書カード払いでは払いきれません。

使える請求書と利用者の条件

請求書カード払いで払える請求書

請求書カード払いでは、支払先によって使えない場合があります(いずれも2026年11月6日確認)。

  • 三井住友銀行:「日本国内の法人事業者が発行する請求書のお支払にご利用可能です」とし、個人事業主へのお支払、海外口座へのお支払、事業に関わらない私的なお支払、「適格請求書発行事業登録のない法人へのお支払」は利用できないと記載しています
  • 弥生:法人が発行した請求書のほか、日本国内に住所を有する個人事業主(適格請求書発行事業者)が発行した適格請求書にも使えるとしています。個人宅や社宅などの家賃の支払いは対象外です
  • りそな決済サービス:利用できるのは事業者(法人又は個人事業主)で、個人消費者は利用できないと記載しています

請求書カード払い取引ガイドラインも、第10条で、支払う側・受け取る側とも、日本国内の法人か、日本国内に住所があり事業を行う個人に限るとしています。第17条では、支払う側と受け取る側が同じ取引、事業性取引以外の取引、架空取引や循環取引など実態が伴わない取引について、提供会社は請求書カード払いを提供してはならないとしています。

ファクタリングで売れる売掛金

ファクタリングで売れるのは、取引先に請求書を出した売掛金です。売掛先が個人の場合や、個人事業主が利用する場合の扱いは会社によって異なります。個人事業主が使える会社は個人事業主のファクタリング、売掛先の条件は53社の公式表示の集計でご確認ください。

法律上の位置づけの違い

ファクタリングは債権の売買

金融庁は、ファクタリングを法的には債権の売買(債権譲渡)契約と説明する一方で、「経済的に貸付けと同様の機能を有していると思われるようなものは、貸金業に該当するおそれがあります」としています。契約書にノンリコースの規定があるかなどの形式だけでなく、「経済的側面や実態に照らして判断されるもの」とも書いています(金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」・2026年11月6日確認)。貸金業との関係はファクタリングと貸金業の関係でご説明しています。

請求書カード払いは支払の代行と立て替え

キャッシュレス推進協議会は、ガイドラインの公表に当たり、「本サービスの提供自体には明確な法規制は存在しない一方、その提供するサービス内容から、貸付けへの該当性や為替取引の該当性が考えられます」と説明しています。そのうえで、金融庁が2025年4月2日に公表した「立替サービスの貸金業該当性に関するQ&A」に触れています(キャッシュレス推進協議会・2026年11月6日確認)。

このQ&Aで金融庁は、立替サービスについて「「貸付け」該当性を一律の基準で判断することは困難であり、各立替サービスの個別具体的な事情を総合的に考慮して実質的に行うことが適切」としています。判断の際は、どの程度利用者の支払能力を補完しているか、どの程度利用者の信用力を考慮しているかなどに着目し、手数料の設定方法、立替期間、利用者の属性・利用態様などを総合的に勘案することが考えられるとしています(金融庁・2026年11月6日確認)。

つまり、どちらも契約の名前だけで扱いが決まるものではなく、実態で判断される点は共通しています。

支払義務がいつ消えるか

請求書カード払いを申し込んだ時点では、取引先への支払義務はまだ消えていません。ガイドライン第20条は、提供会社が契約書等に明記すべき事項として、「請求書カード払いの申込みをもってバイヤーのサプライヤーに対する金銭債務は解消されるものではなく、BIPS事業者が債務支払を完了しない限りはバイヤーはサプライヤーに対する支払義務を免れないこと」を挙げています。取引先への振込が終わるまでは、振込日を確かめておく必要があります。

振込までの日数は、提供会社で異なります。りそな決済サービスは振込可能日を「申請から3営業日以降」、弥生は「カード決済から、最短即日~3営業日以内」、三井住友銀行は「最短(即日〜3営業日)」と「日付指定」から選べると記載しています(2026年11月6日確認)。支払期日の直前に申し込むと、期日に間に合わない場合があります。

使い分けの考え方

入金を早めたい場合はファクタリング

取引先への請求書があり、入金日までの支払いに充てる現金が必要な場合は、ファクタリングが対象になります。手元に現金が入るため、請求書カード払いの対象にならない支払い(請求書のない給与や、対象外の支払先への支払いなど)にも使えます。

特定の支払いを後ろへずらしたい場合は請求書カード払い

支払う請求書が決まっていて、その支払いをカードの引き落とし日まで後ろへずらせば足りる場合は、請求書カード払いが比較の対象になります。売掛金がなくても使える一方で、カードの利用枠の範囲までで、ずらした分はカードの引き落とし日に払う必要があります。

どちらの場合も確認すること

  1. 何に効くか:入ってくるお金を早めたいのか、出ていくお金を遅らせたいのか
  2. 手数料が何に対する率か:売る売掛金の額面か、支払う額か。最低手数料の有無
  3. 上限:売掛金の額面か、カードの利用枠か
  4. 期日に間に合うか:ファクタリングの入金日、請求書カード払いの取引先への振込日
  5. その後の支払い:ファクタリングは売掛先からの入金をファクタリング会社へ渡す日、請求書カード払いはカードの引き落とし日に、それぞれ資金を用意できるか

よくある質問

Q: 請求書カード払いで、自分が出した請求書を早く現金にできますか? A: できません。請求書カード払いは、請求書を受け取った側が代金をカードで払うサービスで、手元に現金が入るものではありません。自分が出した請求書の代金を支払期日より前に受け取りたい場合は、売掛金を売るファクタリングが対象になります。

Q: 請求書カード払いを使うと、取引先に知られますか? A: 三井住友銀行は「請求書カード払いのご利用が、支払先に知られることはございません」、弥生は「取引先にカードの利用は伝わりません」と記載しています。取引先の口座には、指定した振込名義で代金が振り込まれます(2026年11月6日確認)。

Q: 請求書カード払いの手数料はどのくらいですか? A: 公式ページで確認した3社では、りそな決済サービスが3.3%(税込)、三井住友銀行が3%、弥生が利用開始時3.5%(利用金額に応じて変動)で、それぞれ最低手数料があります(2026年11月6日確認)。ファクタリングの手数料とは、かかる対象と得られるものが違うため、率だけでは比べられません。

Q: ファクタリングと請求書カード払いは同時に使えますか? A: 2つは対象が違います。ファクタリングは自社が受け取る売掛金、請求書カード払いは自社が支払う請求書が対象です。ただし、ファクタリングでは売掛先からの入金をファクタリング会社へ渡す日が、請求書カード払いではカードの引き落とし日が、それぞれ後にきます。両方を使う場合は、その日に必要な資金を用意できるかを先に確かめてください。

Q: デビットカードでも請求書カード払いは使えますか? A: りそな決済サービス・三井住友銀行・弥生とも、デビットカードやプリペイドカードでも払えるとしていますが、支払いを後ろへずらすことはできないと記載しています。三井住友銀行は、即時に残高が引き落とされるためと説明しています(2026年11月6日確認)。

まとめ

  • ファクタリングは受け取る側が売掛金を売って入金を早める取引、請求書カード払いは支払う側がカードで払って支払いを後ろへずらすサービスです。手元に新しく現金が入るのはファクタリングだけです
  • 請求書カード払いの手数料は、確認した3社でりそな決済サービス3.3%(税込)、三井住友銀行3%、弥生は利用開始時3.5%(利用金額に応じて変動)で、後ろへずらせる期間は3社とも最大60日です。実際の日数はカードの締め日・引き落とし日で変わります
  • 使える額の上限は、ファクタリングが売掛金の額面、請求書カード払いがカードの利用枠です
  • 請求書カード払いは、申し込んだだけでは取引先への支払義務は消えず、取引先への振込が終わるまで残ります。振込までの日数を確かめてから申し込んでください
  • 金融庁は、ファクタリングは契約書の形式だけでなく経済的な実態で、立替サービスは個別の事情を総合的に考慮して実質的に、貸金業に当たるかを判断するという考え方を示しています

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