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仕入れ代・外注費が払えない時の対処法|支払先への相談と売掛金の早期資金化

仕入れ代・外注費が払えない時の対処法|支払先への相談と売掛金の早期資金化

更新日: 2026年10月31日外注費 払えない, 仕入れ代 払えない, 外注費 支払い 遅れる

外注費や仕入れ代が期日までに払えないと分かった時点で、まず支払先に連絡し、いつ・いくらなら払えるかを具体的に伝えて相談します。あわせて、税金・社会保険料の猶予制度や日本政策金融公庫の貸付で他の支出と資金を整え、売掛金がある場合はその早期資金化も検討します。

ただし、発注先が中小企業やフリーランスの場合、発注側には法律で定められた支払期日があり、相手が同意しても期日後の支払いが認められるとは限りません。本記事では、支払う側の会社が守るべき決まりを確認したうえで、期日内に支払うための手段を整理します。

時期 できること 根拠・送り先
今日 支払先に連絡し、支払える額と日付を具体的に伝える 本記事「支払先への相談」
今日 取引が取適法・フリーランス法の対象かを確かめる 公正取引委員会・e-Gov法令検索
今日 売掛金があれば、即日入金に対応する会社に見積もりを依頼する 即日入金の会社の比較
今週 国税は税務署、社会保険料は年金事務所に猶予を相談する 国税庁・日本年金機構
今週 日本政策金融公庫にセーフティネット貸付を相談する 日本政策金融公庫
今週 支払先と合意した内容を書面やメールに残す 本記事「合意内容の記録」

最初に確かめること:支払先との取引に法律の支払期日があるか

外注費・仕入れ代の支払いは、原則として契約で決めた条件に従います。ただし、発注側と受注側の規模や取引の内容によっては、法律が支払期日の上限を定めています。対象となる取引で支払いが遅れると、発注側の法令違反になります。

取適法(旧下請法)の対象になる取引

下請法は改正され、2026年1月1日から「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」(通称:取適法)として施行されています(出典:公正取引委員会「取適法」・2026年10月31日確認)。改正後は、発注側を「委託事業者」、受注側を「中小受託事業者」と呼びます。

対象は、製造委託、修理委託、情報成果物作成委託、役務提供委託、特定運送委託の5種類の取引(第2条第6項)で、発注側と受注側の資本金の額または従業員数の組み合わせで決まります(第2条第8項・第9項)。資本金と従業員数の基準の一覧は、取適法とファクタリングの関係の記事に掲載しています。

対象になる場合、発注側の会社には次の決まりがあります。

  • 支払期日は、検査をするかどうかを問わず、給付を受領した日(役務提供委託・特定運送委託は役務の提供を受けた日)から起算して60日の期間内で、できる限り短く定めなければなりません(第3条第1項)
  • 支払期日を定めなかった場合は受領した日が、60日を超える期日を定めた場合は受領した日から起算して60日を経過した日の前日が、支払期日とみなされます(第3条第2項)
  • 支払期日の経過後もなお支払わないことは禁止されています(第5条第1項第2号)。手形を交付すること、支払期日までに代金と同額の金銭に引き換えることが困難な支払手段を使うことも、これに含まれます
  • 支払期日までに支払わなかった場合は、受領した日から起算して60日を経過した日から支払う日までの日数に応じ、遅延利息を支払わなければなりません(第6条第1項)。公正取引委員会は、その率を年率14.6%と説明しています(出典:公正取引委員会「委託事業者の義務」・2026年10月31日確認)

第5条第1項第2号には、受注側が同意すれば期日後の支払いが許されるという例外は書かれていません。そのため、取適法の対象となる取引では、「支払いを待ってもらう相談」で問題が解決するわけではありません。相談は、期日内に支払うための資金の手当てと並行して進めます。

また、支払いを手形に切り替えることや、期日までに現金化できない電子記録債権・一括決済方式を使うことも、公正取引委員会は支払遅延に該当すると説明しています(出典:公正取引委員会「委託事業者の禁止行為」・2026年10月31日確認)。支払手段の変更で期日を先に延ばす方法はとれません。

フリーランス法の対象になる取引

従業員を使用しない個人や、代表者1人だけで従業員のいない法人に業務を委託している場合は、「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(フリーランス・事業者間取引適正化等法)の対象になる場合があります。同法は2024年(令和6年)11月1日に施行されました(出典:厚生労働省 栃木労働局・2026年10月31日確認)。

同法では、従業員を使用する個人や、役員が2人以上いるか従業員を使用する法人を「特定業務委託事業者」と定め(第2条第6項)、次の決まりを課しています。

  • 報酬の支払期日は、給付を受領した日から起算して60日の期間内で、できる限り短く定めなければなりません(第4条第1項)
  • 他社から受けた業務を再委託する場合で、所定の事項を明示したときは、元の委託の支払期日から起算して30日の期間内で定めることができます(第4条第3項)
  • 定めた支払期日までに報酬を支払わなければなりません(第4条第5項)。例外は、受注側の責めに帰すべき事由で支払えなかった場合で、その事由が消滅した日から60日(再委託は30日)以内に支払う必要があります

業務委託の内容(給付の内容・報酬の額・支払期日など)を書面または電磁的方法で明示する義務は、従業員の有無にかかわらず、フリーランスに業務を委託するすべての事業者にあります(第3条第1項)。

どちらの法律にも当たらない取引

受注側の規模が基準を超える場合や、取引が法律の定める委託に当たらない場合は、契約書・発注書で決めた支払条件に従います。期日に遅れると、契約に定めた遅延損害金や、取引停止などの対応を受ける可能性があります。どの法律の対象になるか判断に迷う場合は、公正取引委員会の相談窓口で確認できます。

取引の種類 支払期日の上限 期日を過ぎた場合 根拠
取適法の対象(中小受託事業者への製造委託等) 給付の受領から60日以内 支払遅延として禁止。年率14.6%の遅延利息 取適法第3条・第5条第1項第2号・第6条
フリーランス法の対象(特定受託事業者への業務委託) 給付の受領から60日以内(再委託は元委託の支払期日から30日以内) 期日までの支払義務に違反 フリーランス法第4条
上記以外 契約で定めた期日 契約に定めた遅延損害金など 契約書・発注書

支払先への相談:伝える内容と順番

支払いが遅れそうだと分かったら、期日を過ぎてからではなく、期日の前に連絡します。連絡が遅れるほど、支払先は自社の資金繰りを組み直す時間を失い、その後の取引条件に影響しやすくなります。

伝える内容

相談では、謝罪だけで終わらせず、次の4点を数字で伝えます。

  1. 支払期日に支払える金額(全額が無理でも一部の金額)
  2. 残額を支払える日付と、その日付の根拠(売掛金の入金予定日、融資の実行予定など)
  3. 資金を確保するために進めている手段(猶予制度の申請、公庫への相談、売掛金の資金化)
  4. 次回以降の発注・支払いの見通し

根拠のない日付を約束すると、その日にまた払えなかった時に信用を大きく損ないます。売掛金の入金予定日など、確認できる日付をもとに伝えます。

法律の対象となる取引での注意点

取適法・フリーランス法の対象となる取引では、支払期日を後ろにずらす合意を求めることは、相手に法令違反を受け入れさせることになりかねません。この場合の相談は、「期日内に支払うための方法」を中心に組み立てます。

  • 期日内に支払える分を先に支払い、残額を期日内に用意する手段を同時に進める
  • 今後の発注量や納期の調整を相談し、次回以降の支払額を自社の資金で賄える範囲に収める

また、取適法では、受注側の責めに帰すべき理由がないのに代金の額を減ずることも禁止されています(第5条第1項第3号)。支払いの負担を減らす目的で発注済みの代金を下げることは、この禁止に当たるおそれがあります。

合意内容の記録

法律の対象外の取引で分割払いや支払日の変更に合意した場合は、合意した金額・日付・回数をメールや書面に残します。担当者同士の口頭の約束だけでは、後で双方の認識がずれた時に確認できません。


支払先以外の支出を整える:税金・社会保険料の猶予

外注費・仕入れ代を期日内に払うためには、同じ時期に出ていく他の支出を見直すことも有効です。税金と社会保険料には、一時に納付すると事業の継続が難しくなる場合の猶予制度があります。

国税の猶予(国税庁)

国税庁は、国税を一時に納付することにより事業の継続または生活の維持を困難にするおそれがある場合などに、申請による「換価の猶予」を受けられる場合があると説明しています。主な内容は次のとおりです(出典:国税庁 タックスアンサーNo.9206・2026年10月31日確認)。

  • 納付すべき国税の納期限から6か月以内に申請書を提出する
  • 猶予の期間は原則として1年以内で、猶予を受けた国税は原則として猶予期間中の各月に分割して納付する
  • 猶予が認められると、財産の換価(売却)や差押えなどが猶予され、猶予期間中の延滞税が軽減される(出典:国税庁「納税に関する総合案内」・2026年10月31日確認)
  • 担保の提供が原則として必要だが、猶予を受ける金額が100万円以下の場合や、猶予期間が3か月以内の場合などは不要

災害・病気・事業の休廃業・事業の著しい損失などにより納付が困難な場合は、別に「納税の猶予」の制度もあります。申請は所轄の税務署で相談します。

社会保険料の猶予(日本年金機構)

厚生年金保険料・健康保険料などは、日本年金機構が「換価の猶予」と「納付の猶予」を設けています。換価の猶予は、保険料等を一時に納付することにより事業の継続を困難にするおそれがあり、納付に対する誠実な意思があると認められる場合に、猶予を受けようとする保険料等の納期限から6か月以内に申請して受けられます。認められると、保険料等を猶予期間内に分割して納付でき、猶予期間の延滞金の一部が免除されます(出典:日本年金機構「厚生年金保険料等の猶予(換価の猶予・納付の猶予)」・2026年10月31日確認)。相談先は管轄の年金事務所です。

税金の滞納とファクタリングの関係は、税金滞納でもファクタリングは利用できるかで説明しています。

給与の支払日が重なる場合

同じ時期に従業員の給与の支払日がある場合、給与を後回しにして外注費・仕入れ代に資金を回すことはできません。労働基準法24条は、賃金を通貨で直接労働者にその全額を支払うこと(第1項)、毎月1回以上、一定の期日を定めて支払うこと(第2項)を定めています(出典:e-Gov法令検索・2026年10月31日確認)。給与は定めた支払日に全額を支払う前提で資金繰りを組み、そのうえで外注費・仕入れ代の手当てを考えます。給与日までに資金を確保する手順は、給料が払えない会社が給与日までにできることで取り上げています。


日本政策金融公庫のセーフティネット貸付

日本政策金融公庫(国民生活事業)の「経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)」は、社会的・経済的環境の変化などの外的要因により一時的に売上の減少など業況が悪化しているが、中長期的には業況の回復が見込まれる方が対象です。融資限度額は7,200万円(設備資金と運転資金の合計)、運転資金の返済期間は10年以内(うち据置期間3年以内)、利率は基準利率です(出典:日本政策金融公庫「経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)」・2026年10月31日確認)。条件によっては特別利率が適用される場合があります。

融資には申込み後の審査があるため、今日の支払いに充てる手段ではありません。来月以降の外注費・仕入れ代を安定して支払うための資金として、今週中に相談を始めます。


売掛金がある場合:早期資金化の選択肢

取引先への売掛金があり、その入金日が外注費・仕入れ代の支払期日より後にある場合は、売掛金を期日前に資金化する方法があります。ファクタリングは、売掛金をファクタリング会社に譲渡し、手数料を差し引いた金額を入金日より前に受け取る取引です。借入ではないため返済の義務は生じませんが、手数料の分だけ受け取る額が減ります。

計算例

例:外注費200万円の支払期日が今月末、売掛金300万円の入金日が翌月末という会社の場合(仮定)

項目 金額
売掛金の額面 300万円
手数料(手数料率を10%と仮定) 30万円
受け取る金額 270万円
外注費の支払い後に残る金額 70万円

この例では、外注費は期日内に支払えますが、翌月末に入るはずだった300万円は入金されないため、翌月の資金計画から外します。手数料率は売掛先の信用力や契約の方式によって変わり、上の10%は計算のための仮定です。各社の公式表示はファクタリングの手数料の記事で確認できます。

利用を検討する前の確認事項

  • 必要な額だけを資金化する:支払いに必要な額を超えて売掛金を譲渡すると、手数料の負担が増え、翌月以降の入金も減ります
  • 2社間か3社間か:売掛先に知らせずに進める2社間と、売掛先の承諾を得て進める3社間では、手続きと入金までの流れが異なります。違いは2社間・3社間ファクタリングの違いで説明しています
  • 翌月以降の資金計画:資金化した売掛金は翌月の入金予定から消えるため、資金繰り表で翌月以降の残高を確認します
  • 業者の確認:実質的に貸付となる契約を勧める業者もあります。見分け方は違法なファクタリング業者の見分け方で確認します

当日中に入金に対応する会社の手数料・入金スピードは、即日入金のファクタリング会社の比較にまとめています。

自社の売掛金の支払期日も確かめる

自社が受注側として取引先から仕事を受けている場合、その取引が取適法の対象であれば、取引先にも給付の受領から60日以内の支払期日の決まりがあります。売掛金の入金日が受領から60日を超えて設定されていないかを確かめることも、資金繰りの改善につながります。受注側の立場での取適法の扱いは、取適法とファクタリングの関係で説明しています。


手段ごとの比較

手段 入金・効果が出るまで 費用 向いている場面
支払先への相談 当日から(相手の合意による) 契約に定めた遅延損害金など 法律の対象外の取引で、一時的に資金が不足する場合
国税・社会保険料の猶予 申請後の審査による 国税は猶予期間中の延滞税が軽減、厚生年金保険料等は猶予期間の延滞金の一部が免除 納期限が外注費の支払いと重なる場合
公庫のセーフティネット貸付 申込み後の審査による 利息(基準利率など) 来月以降の運転資金を確保したい場合
ファクタリング 会社によっては当日 手数料 売掛金があり、支払期日が迫っている場合

よくある質問

Q: 外注先が同意すれば、支払期日を延ばしてもよいですか? A: 取適法の対象となる取引では、支払期日の経過後もなお支払わないことが禁止されており(第5条第1項第2号)、受注側の同意があれば許されるという例外は条文にありません。期日を過ぎた場合は、受領から60日を経過した日から年率14.6%の遅延利息が生じます。法律の対象外の取引であれば、契約の条件と当事者の合意によります。

Q: 現金の代わりに手形で支払ってもよいですか? A: 取適法の対象となる取引では、手形の交付や、支払期日までに現金化が困難な支払手段の使用は支払遅延に含まれ、禁止されています(第5条第1項第2号)。

Q: フリーランスへの報酬にも60日の決まりはありますか? A: 従業員を使用する事業者などが、従業員のいない個人や一人法人に業務を委託した場合は、フリーランス法第4条により、給付の受領から60日以内で支払期日を定め、その期日までに支払う必要があります。

Q: 仕入れ代を払うためにファクタリングを使っても問題はありませんか? A: 自社の売掛金を譲渡して資金を得ることは、支払いのための資金調達の方法の一つです。ただし、手数料の分だけ受け取る額が減り、翌月以降の入金も減るため、必要な額に限って利用し、税・社会保険料の猶予や公庫の貸付とあわせて検討します。


まとめ

外注費・仕入れ代が払えないと分かった時は、期日の前に支払先へ連絡し、支払える金額と日付を具体的に伝えます。取引が取適法やフリーランス法の対象である場合、発注側には給付の受領から60日以内の支払期日の決まりがあり、受注側の同意を理由に期日後の支払いを認める定めはありません。

期日内に支払うために、国税・社会保険料の猶予制度で同じ時期の支出を調整し、日本政策金融公庫のセーフティネット貸付で来月以降の運転資金を相談します。売掛金がある場合は、ファクタリングによる早期資金化も選択肢の一つです。手数料と翌月以降の資金計画を確かめたうえで、必要な額に限って利用してください。同じ時期に給与の支払日がある場合は、給与を定めた日に全額支払うことを前提に資金繰りを組みます。

ご利用前に、各制度・各社の公式サイトにて最新情報をご確認ください。

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